PubMed論文掲載報告【Cancer science誌(IF6.518)：篠田崇平 他、Interferon-expressing oncolytic adenovirus + chemoradiation inhibited pancreatic cancer growth in a hamster model】

　2022年8月まで留学先として所属していたミネソタ大学外科Yamamoto labは「増殖型アデノウイルス(Oncolytic Adenovirus)を用いた膵癌の治療法開発」をテーマに取り組んでいます。その一つとしてIFNを発現する腫瘍溶解性アデノウイルス（IFN-OAd）を開発し、これまで膵癌細胞株への有用性を報告してきました。

　本論文ではGEM+nab-PTX、放射線治療、IFN-OAd併用療法(CRV群)の有用性を、ハムスター膵癌細胞株を用いて検討しました。Colony formation assayでは、Combination index(CI)を算出し、CRV群は相加効果だけでなく、相乗効果を示すことを確認しました（CI＜1）。また、ハムスター同種膵癌細胞株皮下移植腫瘍モデルでのGEM＋ nab-PTX(C)、放射線照射(R)、腫瘍内へのIFN-OAd注入(V)を用いたCRV群は化学放射線療法群(CR群)と比較し、重篤な副作用を伴わずに有意な腫瘍増殖抑制効果とtumor-infiltrating lymphocytesの増加を示しました。

　膵癌に対するIFN-OAdと化学放射線併用療法は将来的な臨床応用(具体的には膵癌の術前治療でのEUS下IFN-OAd局所投与など)が期待できると考えています。

　最後に、本研究でご指導いただきましたミネソタ大学 外科 山本正人先生、Yamamoto lab のmemberへ深謝申し上げます。

↓↓↓　詳しくは以下リンク先をご参照ください。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/cas.15903
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37439437/

（篠田崇平）