PubMed論文掲載報告【Hepatology International誌(IF9.046):佐伯一成 他、Methylated SEPT9 assay-based liquid biopsy as a biomarker in molecular targeted agent-treated hepatocellular carcinoma】

 私たちはメチル化制限酵素による『高感度メチル化解析法』を開発しており、各種悪性腫瘍を検出する目的で、メチル化DNAを検出するリキッドバイオプシー検査の研究を行っています。肝細胞癌についても、肝発癌過程にがん抑制遺伝子であるSEPT9のメチル化が関与しているとの報告のもと、メチル化SEPT9(m-SEPT9)が肝癌診断に有用なバイオマーカーであることを報告しました(Hepatol Commun. 2020)。バイオマーカーには、疾病診断の他、治療選択や効果予測、予後予測などの役割が期待されます。

 本論文ではm-SEPT9が肝癌に対する分子標的治療に対する効果予測・再発予測バイオマーカーとなる可能性を検討しました。練習コホートとして当施設の症例を設定し、m-SEPT9が独立した予後因子でることを確認し、m-SEPT9を取り入れた予後予測スコア(MTAスコア)を作成しました。さらに、三重大学と大阪公立大学より保存検体を提供いただき、検証コホートを設定してその再現性を確認しました。肝細胞癌の薬物療法は多数の選択肢があり、逐次治療選択のバイオマーカー候補となると考えています。

 最後に、本研究に際しご協力いただきました多くの患者様、三重大学 中川勇人先生、岩佐元雄先生、玉井康将先生、大阪公立大学 河田則文先生、田守昭博先生へ深謝申し上げます。

↓↓↓ 詳しくはPubMedリンク先をご参照ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37186217/

(佐伯一成)

PubMed論文掲載報告 ~Hepatology International誌(IF9.046):筆頭著者 佐伯一成講師~